典型的な電荷密度波物質であるNbSe3を用いて作製した微小素子の電気抵抗を調べた研究をJapanese Journal of Applied Physics誌に出版しました(論文)。
電荷密度波(Charge Density Wave, CDW)とは、結晶において、格子が周期的に歪むとともに、電荷密度にも周期的な濃淡が現れる現象のことです。電子格子相互作用によって引き起こされる相転移の典型例であり、主として1次元や2次元のような低次元系で起きます。
様々な物質がCDWを示すことが知られていますが、中でも、NbSe3は最もよく知られたものの一つです。本研究では、機械的剥離法で作製した厚さが20~170 nmの極小のNbSe3素子におけるCDW転移を、電気抵抗測定によって調べました。バルクのNbSe3は、140Kと60Kにおいて性質の異なる2種類のCDW転移を起こします。私たちは、厚さが20nmのような極薄の素子においても、きちんと両方の相転移が生じることを確認しました。このことは、NbSe3におけるCDWの頑健性を示しています。
本研究は、新見康洋准教授(大阪大学大学院理学研究科)の主導で行われました。