論文出版:ファンデルワールス強磁性体のバタフライ型磁気抵抗効果

投稿者: | 2021年2月13日

ファンデルワールス強磁性体Fe5GeTe2を用いて作製した微小素子における特異な磁気抵抗効果についての研究をAIP Advances誌に出版しました(論文 [オープンアクセス])。

近年、一原子あるいは数原子の厚みしかない二次元物質の研究が盛んに行われています。そのような物質は、二次元的な原子層がファンデルワールス力によって積層した構造となっています。グラファイトから取り出されるグラフェンは、その代表例です。このような二次元物質の中には、二次元性の強い超伝導や強磁性を示す場合もあり、それぞれ、ファンデルワールス超伝導体やファンデルワールス強磁性体と呼ばれて、興味をもたれています。Fe5GeTe2はファンデルワールス強磁性体の一つであり、熱心な研究が行われています。

私たちは、Fe5GeTe2を用いて、数原子層の厚みしか持たない極薄デバイスを作製し、磁場中で電気抵抗測定を行い、その性質を調べました。その結果、10%に及ぶ大きな磁気抵抗比を持つバタフライ型(蝶の羽の形)の磁気抵抗効果を見出しました。このような特殊な磁気抵抗効果は、Feサイトにおける磁気ゆらぎに起因する可能性があります。

Fe5GeTe2極薄デバイスにおけるバタフライ型磁気抵抗効果

本研究は、新見康洋准教授(大阪大学大学院理学研究科)、沖縄科学技術大学院大学 岡田佳憲准教授のグループとの共同研究によって行われました。