論文出版:CeTe3薄膜における量子輸送

投稿者: | 2021年1月6日

CeTe3薄膜素子における量子輸送を調べ、AIP Advances誌に論文を出版しました(論文)。

CeTe3は希土類トリテルライド RTe3 (R=希土類元素) の一種で、CeとTeのユニットからなる層と、Teのシート2枚から構成される層が交互に積層した層状化合物です。我々はCeTe3薄膜素子を作製し、磁気抵抗測定を、2.1 K から20 K、8 Tまでの温度範囲で行いました。全温度範囲で明確なシュブニコフ-ド-ハース振動を観測しました。TN1≈3 Kの磁気転移温度以下で、振動の振幅の振る舞いがリフシッツ-コセヴィッチ (Lifshitz-Kosevich) 式から外れていることがわかりました(下図)。このことは、磁気秩序と伝導電子の相互作用が大きく、結果として、有効サイクロトロン質量が増大する可能性があることを示しています。振幅の温度依存性を解析して、常磁性状態と反強磁性状態の両方において、有効質量・寿命・移動度を見積もりました。

CeTe3の研究が進めば、f軌道スピントロニクスへの道が開かれ、重い電子系における伝導電子とスピンの相互作用を理解するための理想的な舞台が得られる可能性があります。