論文出版:ねじれ ランダウ ツェナーモデルの実証

投稿者: | 2023年5月27日

量子力学の黎明期から研究されているランダウ・ツェナーモデルに“ねじれ”効果を取り入れた新モデルを実証し、量子トンネル確率を0%からほぼ100%まで自在に制御した成果を Physical Review A 誌に発表しました(→論文)。


 1932年に発表されたランダウ・ツェナー(LZ)モデルは、量子二準位系における障壁の制御速度と量子トンネル確率を結びつけるもので、今日でも量子制御の基本モデルとして役に立っています。本研究では、LZモデルに幾何学的な“ねじれ”効果を取り入れた新しい「ねじれランダウ・ツェナー(TLZ)モデル」(下図)を実証することに世界で初めて成功しました。精密にプログラムしたマイクロ波パルスによってダイヤモンド中の窒素空孔中心の電子スピンを制御することでTLZモデルを固体中で実現し、平均95.5%という高確率で量子トンネル効果を実現できることを証明しました。本研究は、様々な量子系で普遍的に生じるダイナミクスの理解やその制御方法にとって意義深く、量子トンネル効果を積極的に利用する量子制御の新手法として、量子コンピュータ、固体中のキャリア制御、核磁気共鳴など、様々な応用が期待されます。
 本研究は、物性研 岡隆史教授NIMS 寺地徳之氏との共同研究です。
 詳しくはプレスリリースもご覧いただければ幸いです。

ねじれランダウ・ツェナーモデルと量子トンネル効果

2023.05.30 OPTRONICS ONLINEに掲載されました。「東大,「ねじれ」で量子トンネル確率を自在に制御
2023.05.30 マイナビニュースに掲載されました。「東大、量子トンネル効果を平均95%以上の高確率で実現できることを証明
2023.05.27 日本経済新聞のサイトに掲載されました。「東大、量子トンネル効果を100%に近い確率で誘起する幾何学的効果の実証に成功