論文出版:hBN量子センサの感度向上に成功

投稿者: | 2023年5月20日

パルス制御技術を用いてhBN量子センサによる磁場計測の感度向上に成功した研究をApplied Physics Express誌に発表しました(論文)。


 近年、六方晶窒化ホウ素(hBN)中の点欠陥であるホウ素空孔欠陥(VB)(右図)を利用した室温における物性測定が行われ始めています。この色中心は、ダイヤモンド中のNVセンタと同様にスピン1の系として振る舞い、光学的にスピン状態を検出可能です。さらに、hBNは2次元ファンデルワールス物質であるため密着性が高く、測定対象からの磁場を効率よく検出することが可能です。

 ホウ素空孔欠陥の光検出磁気共鳴(ODMR)スペクトルは2つのディップを持ちます。そのうち1つのディップを詳細に見てみると、さらに7つのディップに分かれています(左図)。これらのディップは欠陥の第1近傍の3つの窒素の核スピンからの超微細相互作用によって生じるものです。

 隣接する核スピンの影響のために、hBN量子センサを用いて交流磁場を検出する際に測定感度が下がってしまいます。そこで、私たちは超微細相互作用を考慮して、図の2〜6番に相当する周波数を持つ複数のマイクロ波を複合したパルスを印加しました。すると、ラビ振動の信号コントラストを2.2倍上昇させることができ、hBN量子センサの交流磁場感度を向上させることができました。
 このような複合パルス制御は、磁気ゆらぎの検出などのパルス測定にも適用することができ、量子センサの感度向上につながります。