論文出版:鉄系超伝導体薄膜の磁束ピン止め効果

投稿者: | 2021年10月15日

鉄系超伝導体薄膜試料における磁束のピン止め効果についての研究をPhys. Rev. B誌に発表しました(論文)。

2008年の発見以降、鉄系超伝導体は、銅酸化物超伝導体と同様の2次元的な層状構造を持つことから、新しい高温超伝導体のグループとして大きな注目を集めています。今回、我々は、機械的剥離法によって作製されたFeTe0.6Se0.4薄膜デバイスにおける磁束のピン止め効果を、臨界電流密度を測定することによって、研究しました。本試料において、バルクにおけるピン止め効果についてはよく分かっていますが、薄膜におけるピン止め効果はよく分かっていませんでした。磁場1 Tにおける臨界電流の膜厚依存性を調べたところ、約 70 nmの膜厚を境目として、ピニングのメカニズムが変化する(クロスオーバーする)ことが分かりました。これはvan der Beekらの理論 [Phys. Rev.B 66, 024523 (2002)] で説明できます。

本研究は大阪大学 大学院理学研究科 物理学専攻 新見研究室(ナノスケール物性研究室)の主導で行われました。